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荒野と野望

2月上旬、
とても大切な友人の一人が北海道へ旅立った。
これまで長年勤め上げた会社を辞め、
最愛の妻と共に新天地を目指した。

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素晴らしい事だと思った。
その勇気に感銘を受け、送別会を開いた。
もう簡単には会えなくなるなと寂しく思ったが、
夢を追い求めて、全てを賭ける男の姿にうらやましさを覚え、
寂しがっていては、恥ずかしいと自分を戒めた。

そんな彼から、電話があったのは3月になったばかりの火曜日だった。
関東のオークション会場で出品車にもぐって下見していたら、
電話のベルが鳴った。
いつもの元気な彼の声を、久し振りに聞けた。
電話の中身は、いろいろあった。
しかし、
「社長、来てください~」と突然言われ、
ちょっとただならぬ雰囲気を感じた。

なので、
出かけていくことにした。
ちょうど、四国で胴体着陸のあった日だ。
しかも、高知で事故があった直後の13時55分にセントレアを飛び立った。

実は、後で聞くまでそんな事故が起きた事すら全く知らなかった。

でも後から考えてみると、
北海道へ向かったANA機は、なんとなく雰囲気が違っていた。
その日は、千歳空港が悪天候だということで、
飛び立つ前から、戻るかもしれないとアナウンスがあった。

でもまさかほんとに引き返すとは、
思っても見なかった。

千歳の上空で、2時間近く旋回した後、
名古屋へ帰還してしまった。

着陸する飛行機を迎える事が出来ず、
友人はとてもがっかりしたそうだ。
だが僕のことだから、簡単にあきらめはしないだろうと、
千歳空港の近くで時間をつぶして待ち続けた。

その頃名古屋に戻ったANA機をを降りると、
職員はみな親切だった。
再チャレンジを申し出た僕に、
15分後に飛び立つ飛行機の席を与えてくれた。
と言う訳で、
同じ空港から同じ目的地に異なった機種で飛び、
短時間で比較フライトを楽しむと言う幸運に恵まれた。

ボーイング767とエアバスA320。

飛び上がる瞬発力やトイレの使い心地はエアバスに魅力を感じた。

機内の静粛性や、安定感はボーイングのほうが良い。
試乗記でも書くようなつもりで、
この幸運を楽しんだ。

延べ7時間かかって北海道にたどり着くと、
友人は空港で待ち構えていた。
夜も深まったロビーで再開すると、
長時間待った疲れも見せず、大喜びしてくれた。
この時、
「ああ来て良かった」と心底思った。

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友人が借りた家は、白老町の別荘地にある。
この広大な別荘地では、
家の数に不釣合いなほど温泉が湧き出ていた。

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どの家の風呂も「温泉かけ流し」になっていて素晴らしい環境だ。
中には「露天風呂」まで備えた家がかなりある。
露天なのにアルミサッシを使い防寒されていたり、
それぞれがとてもユニークだ。

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その地域の四隅に当たる場所に、4つもの源泉がある。

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しかもその排水を処理するために、意外なほど大きな排水路が
道路の脇に沿って設けられていた。

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湧き出る温泉は45度以上あり、水を加えないと熱い。
オーバーフローしたお湯がじゃばじゃば捨てられていて、
もったいない気がした。
モール湯という茶褐色の泉質は、とても柔らかな湯だ。
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少しピリピリした肌触りもする。
一時間ぐらい入って出た後、荒れた手が滑らかになっていて驚いた。

風呂で長く語り明かし、翌日は朝からその地域を歩き回った。
北海道なのに、そんなに寒くない。

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青サギのコロニーが手の届きそうなところにある。

自然にも恵まれ環境は抜群だ。
平日でもまるで日曜日のような、北海道らしい雰囲気はいつ来ても同じだが、

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ここには自動販売機が1台も無く、
商店さえ一軒も無い。
蕎麦屋がただ一軒あるだけだ。
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このごろ出来たばかりだという、
こだわりの「飯屋」があったが、
信じられないことに、
週休3日制だ。
何と月曜から水曜日までお休みなのだ。

ここに厳しい現実がある。

未開の荒野を切り開いた、
開拓民の気持ちを持って、自分の夢に向かって突き進む友人に、
尊敬の念を感じた。

自動車の世界の話をすると、
今、自動車に夢を求める風潮はことごとく衰退している。
人々は皆夢を捨て、現実をしっかり見て、
軽未使用車を買うのだ。

これは決して悪いことではないが、
夢ではなく、野望もほしい。

ある自動車評論家が、
今月発売された雑誌の中で、
これからは日常生活はコンパクトカーで、
いざという時は、ミニバンを使い分けるのです。

などと、いかにもわかったように述べていた。
これには正直、あきれ返っている。
また、
ここまで日本の男は去勢されてしまったのかと、
寂しい限りだ。

はっきり言って、僕には夢と聞かれて、
「これです」と答えるものが無い。

夢なんて毎日見ているし、色までついてるぞ!

と言ったら、以前「狂っている」と、言われたことがあるが(笑)
実際ほぼ毎日夢を見る。
だから夢などと言う曖昧なモノでは、
長い人生が面白くない。

そこで、必要なのが野望だ。
「じゃあ野望はあるのか」と聞かれると、


いろいろある(笑)

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ところで、富士重工に話題を振る。

この会社は 野望の塊だ。
古い話になるが、
平成3年のSVX発売直後、
富士重工の主催する秘密の会議に招かれた。
新宿のあるホテルで密かに商品の意見交換会が開催された。

全国の販売店の中から、数名が選ばれ、
当時の吉田専務や多くの役員と意見交換できる幸運を与えられた。
その時、
ある質問を投げかけた。

発売前の新型車について。
当時まだ発売されていなかったインプレッサの事だ。

当時巷では新たにレオーネがフルモデルチェンジすると評判になっていた。
マガジンXがスクープ記事を載せ、
発表前に鮮度が下がってしまった。
その記事を見て、
地味なクルマが出るなと感じた。

そこで次期車の質問を当時の役員に投げかけた。
「あまり面白そうな車じゃない」というような、少し悲観的な質問だったと思う。

すると、一人の役員が明確に答えを出した。
富士重工を代表する回答として、
実に力強い言葉だった。

「このクルマはWRCで世界制覇をすることが目的です」

凄い。

こんなことを平然と言えるのか、と驚嘆した事を覚えている。
そんな人が当時から沢山居た。
それが富士重工の魅力なのだ。

その話を聞いてから、
まだ見ぬインプレッサの虜となった。

だから未だにインプレッサが一番好きなクルマなのだ。

それが2度目のフルモデルチェンジを迎える。
スポーツハッチに生まれ変わるのか、新たな時流の
アップグレードな5ドアになるのか、まだわからない。

でも発表を待ち焦がれ、ワクワクしどおしだ。
来月9日からのニューヨークオートショーで世界初のお披露目が決定した。
さて、どうしたものか。
ニューヨークが呼んでいる。


Commented by わかお at 2007-04-07 15:02 x
ごぶさたしています、わかおです。
新婚旅行でイタリアとスイスに行ってきました。
乗り物好きの僕にとって、今回の旅行は、乗り物に乗るという
目的もありました。(鉄道にガンガン乗ってきました!本当はレンタカーを借りたかったですが、さすがに妻の許しが…苦笑)
町行く車は、イタリアとスイスでは大きく異なりましたが、
イタリアでは、インプレッサWRCSTIも見ました。
驚きは、スイス。ポルシェは当たり前ですが、
アウディRSやBMWのMなどが市街地を普通に走っています。
当然、MTです。
MT派の僕としては、すごく嬉しくて、すれ違う車に目を奪われていました。今度お店にお伺いするとき、写真を持っていきますね!
ちなみに、僕も名古屋からルフトハンザで行きました。エアバスのエンジン音は軽やかですよね!
Commented by TOSHI at 2007-04-08 14:33 x
わかおさん、御久し振りです。是非土産話をお聞かせ下さい。
僕は明日からニューヨークオートショーを視察してきます。

たぶん、新しいインプレッサは米国で販売台数を大きく伸ばせるでしょう。
現地でじっくり見てきます。
写真で見ただけであれほどカッコイイですから現物はさぞかし凄いだろうとワクワクしてます。
名古屋から777でシスコに入る予定でしたが、オーバーブッキングで成田からニューヨーク直行に変更になり、
「遂に777に乗れるぞ」と楽しみにしていたのですが、残念でした。
成田直行便はダッシュ400です。
これに乗るのもイヤではないのですが、JALなのでとても不安です(笑)
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by b-faction | 2007-03-23 17:35 | 社長の活動 | Comments(2)

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